1956年 フェンダー・ミュージックマスター/デザートサンド

入荷予定が大幅に遅れ’ 04の初秋に入荷しました初年度物の詳細です。尚、55年に発表され、実際にディラーからのオーダ−が入り、 製造、出荷されたのは56年、デュオソニックは、遅れて56年の後半に製造、出荷されたようです。 状態ですが、ピックガード・ゴールドの被膜の剥がれがなければ、超美品の部類に入り、 クルーソンぺグのボタン部分のみ交換されてますが、それ以外はオリジナルで、フレットの摩耗も少なく、 平均的な経年変化による傷み以外は良好なコンディションと言えます。他の機種も含め、56〜57年製は、 ニトロ・セルロース・ラッカーの成分の関係で、黄ばみにくく、ヴィンテージの経過年数のイメージではなく、 リフィニッシュ?と勘違いするほど、白く真新く見えます。このラッカーの成分も年度ごとに変わるようで、 今現在のラッカーといえば、ポリウレタンに近く厚みが出てしまうとの報告もあり、化学成分が添加されていること、 現在使用禁止された成分は使えないとのことで、塗装に関しても、もはや同じものは作れないということです。 ちなみに、ボディやネック材においても、50年代60年代のヴィンテージ・ギターのそれは、今現在の似通った 総称銘の木材より、’軽量であったり、硬質である’などと言われますが、 (同じ木取りから心材側、辺材側で、重量の違いはあるにしても)全くその通りで、土壌のミネラル成分の違いから、 50年前のものと今のものでは、違い、今のものは重いということもありますし、例えば、ホンジュラス・マホガニー でも、ギタ−用材、ヨットの甲板、家具、建築用材など、多用途で、豊富にあり、伐採されていたものが、 米国経済の高度成長期とも重なり、自然の産物なので、序序に減りながらも、森林を食いつぶして行ったわけで、 ホンジュラスにおいても同種の産地が近隣に移動し、軽い良質の用材はへることに...。多くの見識者は、 ギターに使用されているものも、60年代までがベストだろうと...。また同じように、レスポールに 使用されていたメイプルは、オリジナルのものは、草原で生えていたそうで、なかなか育ちにくく、ギター用に加工できるクラスのものは、 ないとのことです。今現在のものは、水辺近くに生えているもので、トラ杢状の模様が出やすいものだとのこと。私の友人で、カナダで、暮らしていた時、 現地の人に聞いたそうですが、漠然と、カナダは、メイプルのイメージが付きまとうこともあり、ギターにできる メイプルって?あるの?と聞いたところ、いくらでも生えているという答えが返ってきましたが、ギブソン社などは、 現在、良いギター用材を必至の状態で探し求めてことから考えれば、土壌の違いで、ギターに向かない木だとわかります。 少し脱線してしまいましたが...。この’56の音質は、どうか!?...申し上げますと、 ジョージ・フラートンが好むであろう三角グリップの極太ネックから、ネックの質量が重い為、基音のベース音が しっかり出ており、また、細フレットとメイプルの硬質さが重なり、中高域の倍音も豊かで、サーキットのコンデンサーも、 芳醇な温かみをもつことも加わり、総合的に判断しまして、アンプから出力された音は、どっしりとした中にも抜けがあり、 そして全体的にまとまりもあって、尚且つ、ビブラートのかかったといいますか、アンプにリバーブがかかった のではと、錯覚してしまう(確かにギタ−本体が、リバーブ音を持っていて、驚きましたが)メイプルやローズの 好みをも超越した良質の音質だったのです。ちなみに試奏の使用アンプは、65年バンドマスター (ビンテージRCAチューブ)とジョ−ジL’s#155の切り売りのもの3mと統一していますが、 極上に近い域での環境下で、この組み合わせでは、ややトレブリ−気味で、勿論リバーブなど内臓は していないわけです。この’56は50年代初期のトレブリーでない、太い音質のテレキャスターの延長線上に あるのかもしれないですね。大袈裟ではなく、ほんとすごかったのです。弦蔵は、今後も、 極太ネックのミュージックマスターを探したいとおもいます。

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